Oscar "Buddy" Woods

Oscar Woods

Bob Brozman はその著書、「 The History and Artistry of National Resonator Instruments 」の中で、「 Oscar Woods は ’20 年代の初頭に、米本土を巡業していたハワイアン・ショーを観た後でラップ・スタイル(ヒザの上に寝かせる弾き方)に変わった」と書いているそうで(未確認)、どうやら、ハワイアン・スタイルのスライドがブルースにもたらした影響というものも無視することは出来ないのかもしれません。

メロウで流れるようにスムースなハワイアン・スティール・ギターは ’20 年代あるいは ’30 年代にはもうすでにアメリカではメジャーな存在であって、Bob Brozman によればブルースばかりかジャズにも影響を与えている、とされています。
当然、Oscar "Buddy" Woods もその影響下にあり、それはそのまま Black Ace にも受け継がれている、と考えるべきでしょうか。
このふたりは共にスパニッシュ・チューニング* のオープン G、あるいはオープン D での演奏をメインにしていましたが、テクでは Woods が上だったようです。
なお Oscar Woods のギターは「 National Resonator Instruments の Tri-Plate 」というモデルらしいのですが、同社のサイトでも発見できませんでした。どうやら現行モデルではない(あるいは「そのモデル名ではなくなっている」?)ようで詳細は不明です。

*スパニッシュ・チューニング⋯ E-A-E-A-C#-E( 6 弦→ 1 弦)のオープン A、あるいはこの関係のまま全弦を 1 音下げるオープン G を指す。
一方の「 Vestapol 」チューニングは、オープン D( D-A-D-F#-A-D )や、それを一音上げたオープン E( E-B-E-G#-B-E )がある。
ただし、この Spanish と Vestapol の二つは「ベーシックな」オープン・チューニングに過ぎず、実際には、さらに多くのオープン・チューニングが存在します。
ハワイアン・スティールの 8 弦ギターあたりになると、全弦を同時に鳴らすことを「前提としない」チューニングがあり、3〜4 本をセットとしてマイナー系和音や maj.7th まで出せるチューニングも存在します。また、同様にレギュラー・チューニングではないものの、オープンで弾くと和音にならない「変則チューニング」(例えば、1 弦あるいは 6 弦の「 E 」を1音下げて「 D 」にする、「セミ・オープン G 」と「ドロップ D 」、有名な Albert Collins の「 Em( E-B-E-G-B-E こちらは和音になるのでオープン・チューニングと言っても良いのですが、スライドではないので、全弦を同じフレットで弾くことはなさそ)チューニング」などもありますが、それ系(?)の変態⋯じゃなかった、変則チューニングは「スライド」を前提としていないので、ここではちょっとカンケー無いっすね。


正確な誕生日は判りませんが、一説では 1900 年、あるいは 1903 年 4 月 7 日に Louisiana 州 Shreveport で生まれた( Encyclopedia of Louisiana Musicians: Jazz, Blues, Cajun, Creole, Zydeco, Swamp Pop, and Gospel での記載)。と⋯しかし、生まれたのは、同州の Natchitoches で 1925 年ころに Shreveport に移動した、とも言われています。
どうやら街頭での小銭稼ぎやジュークジョイントあたりで演奏していたのでは?とも言われておりますが⋯
資料不足のため途中をガバっ!とはしょって、(はしょり過ぎ?)しゃーないのでレコーディング・データでお茶を濁すとしましょ。

おそらく彼の名前が録音史上で認められる最初は( Tony Russe 1970 の 83 ページに記された記述によれば⋯ただし現認しておりません)1930-05-20、メンフィスの Municipal Auditorium で収録された Jimmie Davis のバックにギターとして Dizzy Head” ( Ed Schaffer 生没年・出生地ともに不明。1930 年代以降、Oscar Woods と一緒に活動しthe Shreveport Home Wreckers としての活動につながっていく.) とともに(おそらく)参加していた、とゆうのがありますが⋯その Jimmy Davis を検索しても該当するデ〜タが浮上してきません。と思ったら白人のシンガ〜じゃん!

そうそう、Maxwell Street Jimmy Davis のバイオで、業界(?)では知られた名前である Maxwell Street Jimmy Davis は Charles W. Thomas として生まれています。Jimmy も Davis も本人にはカンケ〜無さそうで、これはもうほぼ「芸名」つうか「改名」に近いかも。
あるいは当時は実在の「別な有名人で Jimmie あるいは Jimmy Davis てのがいて」それに似てたからマックスウェル・ストリートのジミー・ディヴィスと呼ばれるようになって、それが通名となっちゃったんだったりして?

などとムセキニンなこと書いてましたが、もしかすっとその白人シンガーが原因かも!

1930-05-20、Tennessee 州 Memphis、Municipal Auditorium で録音
55949 : Doggone That Train : VICTOR V40286 : Shreveport Home Wreckers
59952-1 : She's A Hum Dum Dinger ( From Dingersville ) : VICTOR unissued ( Document DOCD 5143 ) Jimmy Davis 名義
59952-2 : She's A Hum Dum Dinger : BLUEBIRD 1835 : Shreveport Home Wreckers

Jimmie Davis, voc; 'Dizzy Head' ( Ed Schaffer ); Oscar Woods, g
その翌日 1930-05-21 の録音では Ed Shaffer が歌った
59965-2 : Fence Breakin' Blues : VICTOR 23275
59966-2 : Home Wreckin' Blues : VICTOR 23275

Shreveport Home Wreckers ; Ed Shaffer, voc, g, kazoo; Oscar Woods, g
この二曲が the Shreveport Home Wreckers の曲として残るようになります。

続いて 1930-11-29、Municipal Auditorium で録音
64754-2 : Penitentiary Blues : VICTOR 23544

Eddie And Oscar 名義; prob. Oscar Woods, sl g; prob. 'Dizzy Head' (Ed Schaffer), sl g で裏面は Jimmy Davis ですが省略。


1932 年の春には the Shreveport Home Wreckers として Dallas で録音された曲に参加していた、と言われているのがたぶんコレ。
70660-1 : Nok-Em-All : VICTOR 23324
70661-1 : Flying Crow Blues : VICTOR 23324

rec. February 8, 1932 in Dallas, TX; Oscar Woods, voc, g; Eddie Chafer (Ed Schaffer), g

少し間をおいて(あ、Jimmy Davis に付き合った録音はあるけど「省略」!)1936-03-21、New Orleans で録音
60847- : Evil Hearted Woman Blues : Decca 7904 B
60848-A : Lone Wolf Blues : Decca 7219
60849-- : Don't Sell It—Don't Give It Away : Decca 7219

マトリックスが逆進してように見えますが、録音場所が違うので当然「管理番号も違う」
Oscar Woods, voc, g なお Decca 7904 の A 面は Peetie Wheatstraw の Southern Girl Blues (93848-A)

翌 1937 年秋には Kitty Gray ( Jazz and blues singer and pianist, who recorded for Vocalion in San Antonio, Texas, in 1937, and in Dallas, Texas, in 1938.) のバックでギターで参加したのが VOCALION 03869 ~ 04121となっています(ただしこの Kitty Gray、女性であることは確かなようですが、ついに画像検索ではヒットせず、コーカソイドなのかネグロイドなのかが判明いたしませんでした)。
Texas 州 San Antonio での録音で
SA-2838-1 : I Can't Dance (Got Ants In My Pants) : Vocalion 03992
SA-2839-1 : Round And Round : Vocalion 03992
SA-2840-1 : You're Standing On The Outside Now : Vocalion 04014
SA-2841-1 : Swingology : Vocalion 03869
SA-2842-2 : The Joke Is On Me : Vocalion unissued
SA-2843-1 : My Baby's Ways : Vocalion 04121
SA-2846-1 : Baton Rouge Rag : Vocalion unissued
SA-2847-1 : Weeping Willow Swing : Vocalion 04014
SA-2848-1 : Gettin' Away : Vocalion 04121
SA-2853-1 : Posin' : Vocalion 03869 ( rec. 1937-10-31 )

KITTY GRAY and her WAMPUS CATS 名義
WAMPUS CATS は Oscar Woods, poss. Joe Harris, g; unknown, sb;
SA-2853-1 以外は 1937-10-30 の録音

さて、上記のマトリックスに割り込むように
SA-2844-1 : Muscat Hill Blues : Vocalion 03906
SA-2845-1 : Don't Sell It (Don't Give It Away) : Vocalion 03906

が Oscar Woods, v, g; Kitty Gray, p; poss. Joe Harris. 2nd g; unknown, sb で
Vocalion 03906 の名義は BUDDY WOODS with the WAMPUS CATS ⋯

1938 年の 12月 4 日には Texas 州 Dallas で
DAL-701-2 : You Keep Me Worried : Vocalion unissued
DAL-703-1 : Low Life Blues : Vocalion 04745
DAL-706-2 : As Long As You're Mine : Vocalion unissued
DAL-707-1 : Come On Over To My House Baby : Vocalion 04745

Vocalion 04745 の名義は BUDDY WOODS ( acc. by Wampus Cats )

その二年後の 1940-10-08、Louisianna 州 Shreveport で Library of Congress に
3989-A-1 : Boll Weevil Blues : Library of Congress unissuede
3989-A-2 : Don't Sell It : Library of Congress unissued
3989-A-3 : Sometimes I Get A-Thinkin' (tk 1) : Library of Congress unissued
3989-B-1 : Sometimes I Get A-Thinkin' (tk 2) : Library of Congress unissued
3989-B-2 Look Here Baby, One Thing I Got To Say : Library of Congress unissued

を彼ひとりの弾き語りで録音⋯したのですが Library of Congress unissued
後にFlyright 260 として発売されてはいますが⋯

Discogs と wirz.de では 1955 年(異説 1956 年)12月14日に Louisiana 州 Shreveport で死去としています。



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