William Harris
Alonso Boone
Bud Johnson


William Harris

William Harris についてはその生没年月日、出生地と死亡した場所などが判明しておらず、一部では Mississippi 州 Glendora での生まれではないか?とゆう推理もなされ、あるいは Willie Harris を Willia Harris として、Louisiana 州 St. John The Baptist Parish の Mt. Airy で 1893-05-15 に生まれた、としているサイトも存在します。確実にそれを裏付ける公文書などの資料は存在していないようです。

Discogs では 1900 年前後の生まれではないか?としていますが wirz.de では
William Harris
b. ? in Glendora, Mississippi ( ? )
date and location of death unknown


と生年の推論も排した記載になっております。
実際に残されたデータから言えるのは唯一、1927 年 7 月には(たぶん)成年に達していたのではないか、とゆうこと。そして少なくとも 1928 年10月11日までは確実に生きていたのは間違いない、とゆうことだけですね。

一番最初に彼のブルースに触れたのは、Cream Of The Crop : ROOTS RL-332 に収録されている Kitchen Range Blues でした。彼のレコーディング歴、全 16 曲中、時系列から行くと五曲目に吹き込んだ曲です。
Vestapol チューニングのオープン E と思われるギターはブーギ・フォームのリズムをとってはいませんが、歌詞もコードも標準的なブルース進行の A-A'-B というパターンをきれいにおさえた曲となっています。
エグい個性はあまり感じられませんが、まさにスタンダードなブルースをゆったりと歌う余裕(?)が感じられるような⋯

その Cream Of The Crop のクレジットによれば、1928 年10月 9 日、Indiana 州 Wayne 郡の Richmond(普通、Richmond ってゆうと Virginia 州なんですが、そっちじゃありません。)での録音、となっていますが、他の資料とも合致しておりました。
ただ、彼をミシシッピー・デルタ出身と推定する説と、1927 年 7 月18日の初吹き込みと思われる I'm Leavin' Town (But I Sho' Don't Wanna Go) : Gennett 6306(ただし、この録音では本来 No Black Woman Can Sleep In My Cowlot がカップリングとなる予定だったのが、なんらかの理由で Ollis Martin の Police And High Sheriff Come Ridin' Down とのカップリングになったのではないか?と想像しております⋯コンキョは無いけど!)Alabama 州 Birmingham で行われている事実をもとに、Alabama 系のブルースマンである、とする説も存在します。

そして特に、この録音の日付に注目して、彼が F. S. Wolcott の Rabbit Foot Minstrels の一員だったのではないか?とする( by Jason Ankeny )説があり、それは翌 1928 年10月の 9 日からの 3 日間という二度目の録音の日付が、一行の巡業日程とも合致することによって説得力を持ってはいますが、残念ながら、同ショーのメンバーの陣容を証明できる資料があってのことではないので、これもまた「可能性」の域を出ません。

William Harris の足どりは、1928 年10月11日の 3 曲を最期に「消え」てしまいました。
どこで、いつ生まれて、どんなふうに育ち、どう生きて、いつどこでどのようにして死んでいったのか、すべてナゾのまま。

では例によって録音日時によるディスコグラフィーを

1927-07-18 rec. in Birmingham, Alabama
GEX-742-C : No Black Woman Can Sleep In My Cowlot : Gennett unissued
GEX-743-B : I'm Leavin' Town (But I Sho' Don't Wanna Go) : Gennett 6306-A

なお、Gennett 6306-B は Ollis Martin の Police And High Sheriff Come Ridin' Down


続いては 1928 年10月 9 日、Indianna 州 Richmond で
14310 : Kansas City Blues : Gennett 6707
14311 : Nothing Right Blues ( Bearing In Mind ) : Gennett 6904
14312 : Kitchen Range Blues : Gennett 6677
14313 : Keep Your Man Out Of Birmingham : Gennett 6661
14314 : Electric Chair Blues : Gennett 6752

同じく 1928 年10月10日、Indianna 州 Richmond
14315 : Bad Treated Blues : Gennett 6752
14316 : Gonna Get Me A Woman That I Calls My Own : Gennett 6677
14317 : T.B. Blues : Gennett unissued
14318 : Bullfrog Blues : Gennett 6661
14319 : I'm A Roamin' Gambler : Gennett 6737
14320 : I Was Born In The Country—Raised In Town : Gennett 6737


さらに 1928 年10月11日、Indianna 州 Richmond で
14321 : Leavin' Here Blues : Gennett 6693
14322 : Early Mornin' Blues : Gennett 6693
14323 : Hot Time Blues : Gennett 6707


以上の他に Alonso Boone という偽名でリリースされた Electric Chair Blues と Kansas City Blues があり、もひとつ Bud Johnson 名義での Bull Frog Blues と Kitchen Range Blues もあるようです。

William Harris の足どりは、1928 年10月11日の 3 曲を最期に「消え」てしまいました。
どこで、いつ生まれて、どんなふうに育ち、どう生きて、いつどこでどのようにして死んでいったのか、すべてナゾのまま。


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